買取再販の転職
買取再販の仕事とは?
不動産買取再販とは、中古マンションを不動産会社が仕入れて(購入して)、リフォームをしたのちに高く売ることで利益をだしています。
不動産買取再販はここ10年前後で急激に増えてきた業態です。不動産仲介を行っていた不動産会社が不動産買取再販にシフトしていく傾向も多くあります。
理由としては不動産仲介手数料よりも利益を多く取れる点と、販売自体は客付けの不動産会社に依頼する事が多いため良い物件を仕入れる事ができれば、販売力が自社になくても物件を売って利益を出せるというメリットがあります。
ただし、物件を購入するのは短期間の1年返済のプロジェクト融資という短期融資が主流です。そのため物件仕入をしてから1年以内に販売を完了させなければなりません。また、全ての物件が計画通りに黒字で売れるわけではありません。
中には予想よりも安く値下げをして赤字で売却をするというケースもあります。また、リフォーム費用等の諸費用も重くかかるため、銀行からの融資を巧みに使いつつ、リフォーム会社にも早期のリフォーム完工をしてもらい、一日でも早く物件を売っていく必要があります。
不動産買取再販においては一般的な営業職と異なり、物件を売る力よりも、物件を買う力を求められます。より良い物件を安く仕入れる(買う)能力が必要になります。そのため、日頃に仕事も物件を売るための活動よりも仕入れるための活動が中心になります。
なお、買取再販の不動産会社において物件を購入して、リフォーム完了後に販売した場合の粗利率目標は10%前後を目指しています。最近では物件の値上がりが激しいため、10%の粗利率を確保するのは難しいケースも増えています。
また、基本的には買取再販の不動産会社は区分マンションを中心に取り扱います。戸建てを買う事もありますが、特に東京都内では戸建て物件自体が少ないため、マンションが9割以上を占めます。
ただし、地方で戸建て中心に買取再販を行っている株式会社カチタスのような大手企業もあります。
普段の仕事を知る
買取再販の不動産会社に入社すると基本的には仕入営業を行います。他の職種として不動産契約事務やリフォームの管理担当者もいますが、ほとんどは仕入営業で組織が構成されています。
仕入営業の営業方法としては「業者回り」があります。一般の住宅を回ってマンションを売って下さいと言っても売ってくれる人を探すのはかなり難しいです。
そのため、基本的には街中の不動産会社を回って、その不動産会社が地元の物件所有者から販売を依頼されている物件を買い取らせてもらいます。この街中の不動産会社を回って仕入営業をすることを業者回りと言います。
この業者回りで物件を紹介してもらっても、通常の市場相場では買う事はできません。それではリフォームを行って自社の利益を乗せて売り出すと赤字になる可能性が高いからです。そのため、価格を交渉するか、安く買える理由のある物件を紹介してもらう事になります。
ちなみに、安く買える理由になる物件とは、事故物件、相続物件、築古物件、等が主に該当します。また、ゴミ屋敷状態や室内が汚いため一般の方にはそのまま売れないような物件もよく買取の案件として出てきます。要は「ワケアリ物件」です。
このような物件は地元の不動産会社も売り方に困っているケースが多いです。そのため、不動産買取再販の不動産会社に買い取ってもらった方が良いと売主に働きかける事があります。そういった物件情報を地元の不動産会社を周りながら集めていくのが「業者回り」という仕入営業活動になります。
業者回り以外の方法ではレインズを見ながら値下げを繰り返している物件を探して物元の仲介会社に連絡を取るという方法もあります。ただし、この方法はレインズにアクセスできる全ての不動産会社ができる方法のため競争率が高くなります。
基本的には業者回りで知り合いの不動産会社を増やしていきつつ、良い案件が入ったら連絡をもらうという流れが多いようです。
ここで業者回りの中でも地元の中小企業の不動産会社をマメに回って物件を仕入れる人と、大手の駅前の不動産会社を回って物件を仕入れる人とに別れるケースもあります。
地元の中小企業の不動産会社であれば、あまり競争が激しくないため良い物件があればすんなり買わせてもらえるケースもあります。駅前の大手不動産会社は他の買取再販業者も多く訪れるためそれなりに競争があります。
大手不動産会社の場合は売主物件も多く抱えているため、安定的に物件を買えるというメリットもあります。ただし、基本的には大手からの物件は高くなる傾向が高いため大手とばかりの取引でもあまり良い物件が仕入れられなくなってくるケースもあります。
不動産買取再販業界への転職のメリットとデメリット
【メリット】
買取再販の不動産会社は個人向けに不動産を販売するよりも、不動産会社に良い物件を紹介してもらうための営業が主となります。そのため、個人向けの不動産販売と比べて夜間での仕事や休日での仕事になるケースは少ない傾向にあります。
ただし、良い物件情報が入るのが休みの日であった場合に他の不動産会社に買われてしまうケースもあるため、休みの日でも電話対応をする営業もいます。
普段から不動産会社同士の仕事が多いため、不動産に関する知識や経験を問われる事も多いです。そのため、基本的にはほとんどの買取再販の仕入営業は宅建を所持しています。また地元の不動産会社とのコミュニケーションが重要となるため、中小企業の不動産会社の社長とも仲良くなれるスキルが必要になります。
あまり知られていませんが、実は買取再販の営業は不動産業界で独立するにあたり最も向いている職種とも言えます。世間的には知られていませんが、一人で不動産買取再販のみをやっている不動産会社は多くいます。
不動産買取再販を主要な業種にする場合には自分一人が物件を仕入れられれば、後は銀行やリフォーム会社、販売の仲介会社といったアウトソーシングを活用すれば業務が回ります。そのため多くの設備投資を必要としません。
事実、店舗を構えずにマンションの一室で買取再販を主要な業務として開業する不動産会社は増えています。また、新規開業の不動産会社と上場している不動産会社とを比較した場合に一般向けの賃貸仲介や売買仲介であればどうしてもブランド力が優位に働きます。
ですが、買取再販の場合、リノベーション済の中古マンションの売主がどこの会社かはほとんどの買主が気にしていません。買取再販を中心に行っている企業で上場している会社もありますが、知名度は一般の方には低いです。
一般の方が中古マンションを買う際に気にしているのは中古物件のリフォームの仕上がりと価格です。
そのため開業一年目の会社と上場企業との間でそれほど差がつかない状況で勝負ができるため、新規参入した際のハンデが少ないと言えます。
【デメリット】
買取再販の営業としてのデメリットは売る事への喜びがあまり多くはないという点があります。販売は基本的に仲介会社に委託するケースが多いため、自分が物件を仕入れる時が仕事としての達成感はピークになりがちです。
ただし、仕入後のリフォームの設計や販売方法まで細かく口を出すこだわり派の営業もいます。そういった営業の方が予定予算でしっかり売り切る傾向が強いです。
また、法人相手の仕事が苦手という人も仕事をやっていてつらい気持ちになるかもしれません。法人相手の仕事をこれまでやったことがないという人には営業先の不動産会社とのやり取りがストレスに感じる可能性があります。
また、業者回りはいわゆる飛込営業になります。そういった飛込営業的な仕事が嫌いな人も大変かもしれません。ですが、通常の飛込営業と異なり受けての地元の不動産会社は慣れています。あまりぞんざいに扱われる事もないため他業界の飛込営業と比べたらかなり楽な部類に入ります。
また、業者回りもずっと続くわけではありません。ある程度取引先が出来てくると継続的に物件を回してくれるようになるため、徐々に楽になっていくという面もあります。
買取再販の年収は?
買取再販の不動産会社の平均年収は比較的高い傾向にあります。平均すると500万円~600万円が多いです。特徴として基本給と歩合給になりますが、歩合給が仲介営業と異なり、毎月安定的に物件を買えていれば数か月後に売れていく物件も安定的に出てくるという流れになります。
それが安定的な歩合給につながるため、仲介営業ほど顧客の集客状況に振り回される事がありません。そういった事情もあって平均的に給与が高い傾向にあります。
歩合に関してはリフォーム後に物件が売れた際の粗利を基に計算する会社が多いです。一般的には粗利の10%程度が歩合の相場です。粗利がマイナスになる赤字物件を持った場合にその赤字分の補填を次に売れた場合の粗利で補うという方法を取っている会社もあります。
安定的に物件を買えるコネクションのある営業であれば、1,000万円前後の給与を目指す事もそれほど非現実的ではありません。
主要な買取再販不動産会社大手
買取再販を主たる業務としている大手不動産会社をご紹介します。
・株式会社インテリックス
買取再販を最初に広く始めた企業として買取再販大手の一角を占めています。
・株式会社カチタス
主に地方の戸建て物件を中心に買取再販を行っている大手企業です。
・株式会社スターマイカ
賃貸中の物件を買取り、賃料収入を得つつ退去後にリフォームをして売却をするビジネスモデルを取っています。賃料収入の含み益があるため他社よりも利益率が高いです。
・株式会社property technologies
最近上場した企業ですが、子会社のホームネットが売上のほとんどを占めており買取再販を主たる売上としています。
買取再販に向いている人
買取再販の仕事に向いている人の特徴を以下にまとめます。
- コミュニケーション能力: 買取再販の仕入営業では、仕入先の不動産会社との円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。物件の価格交渉などで、相手の要望を理解し、適切に対応できるコミュニケーション能力が求められます。
- 営業力: 仕入営業は地元の不動産会社に積極的にアプローチし、物件を紹介してもらう意欲と努力が重要です。
- 自発的な姿勢: 成功には自発的な行動が欠かせません。自ら進んで市場調査や情報収集を行い、お客様のニーズに応えるために主体的に動く姿勢が求められます。
- 忍耐力と粘り強さ: 物件の仕入には時間がかかる場合もあり、挫折や厳しい競争に直面することもあります。忍耐力と粘り強さを持ち、目標達成に向けて努力し続けることが重要です。
- 不動産に興味を持つ姿勢: 不動産業界に対して興味を持ち、市場動向や法律規制の変化を追いかける姿勢が大切です。物件の特徴や価値を理解し、顧客に適切なアドバイスを提供するためには、不動産に対する熱意が必要です。
これらの特徴を持つ人は、買取再販の仕事で自分のスキルやパーソナリティを活かし、成功を収めることができるでしょう。
不動産買取再販の転職サポート
不動産買取再販の仕入営業として転職する場合に、自分の力で良い企業を探して転職する事も当然できますが、どうしても日頃の忙しい日々の中で時間が取れない事も多いです。
その場合、エージェントを活用すると転職活動も円滑に進みます。転職エージェントは無料で利用できます。転職先の企業から紹介料が転職エージェントに支払われる仕組みになっています。転職エージェントが求人を募集している企業をピックアップしてくれます。
希望に合う求人があればその会社で面接を受けます。その後の給与交渉もエージェントが代行して行うため、精神的な負担も少なくて済みます。また、お断りしたい場合も代行して断りの連絡を入れてくれます。
転職に際して手間となる要素をできるだけ省きつつ、効率的に良い求人とめぐり合わせてくれる機能が転職エージェントにはあります。
いくつか、大手の転職エージェントサービスがありますが、当社は特に不動産業界に特化した転職エージェントサービスを提供しています。
また、不動産業界特化型の転職エージェントサービスは当社以外にもいくつかありますが、当社の場合は他社と異なり転職エージェントサービスだけを行っているわけではなく不動産業界全体に深く絡むサービスを提供している点が他社と異なります。
当社は不動産仲介事業、不動産リノベーション事業も別途社内で事業として行っています。そのため、社内に不動産業界に精通した社員が多くいます。特に未経験の方には業務内容に不安を抱える方も多くいるためこのような業界に精通したスタッフが多くいる場合は心強いアドバイザーとなります。